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夢奇房オフィシャルブログ

マジック・ジャグリングを主体としたエンターテインメントチーム:夢奇房の公式ブログです。 日々の活動の様子をお伝えします。 次回、第16回公演『ファインダー・アウトレイン』は2019年2月11日(月)西東京市民会館にて開催予定です!

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机上の空想 vol.11

(vol.10はこちら!)
過ぎた時間と同じくらい想いも重なったのか、今回のブログは書きたい話があっちこっち飛んでしまって、書いては消しの繰り返しでした。ブラックコーヒーがすすむ、すすむ(笑)。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇
 
駿一です。『ナイトショーは大胆に』のアフターコラムもラストになりました!
今回は脚本の裏話/メイキング回ということで

 

・種明かしシーン
・キャラクター
・笑いの効用
・劇中のゲーム
・個人的に思い入れのある台詞

 

の5本についてお話ししたいと思います。
 
○種明かしシーン

 

イメージは映画の「オーシャンズ」シリーズからヒントを得ています。クライマックスで各メンバーが行う本当の作戦が明らかになるシーンがとてもカッコよくて。

 

・ほぼ音楽だけで観客にもう一手深い作戦を見せよう
・最後ブルームーンのメンバーがズラッと並べば、めちゃめちゃワクワクする!
・『真の作戦』のネタをブルームーンのメンバーがどうに関わっているか考えて、伏線を前のシーンに散らそう

 

などのベースの構想はパッと固まりました。ですが、具体的なネタについてはカーテンのように初めから決まっているものもあれば、催眠術のようにマハラジャくんの参加きっかけで決まるものなど、結構バラバラで、少しずつ並行させながら進めた記憶があります。それこそ「机上の空想vol.2」で書いたような「三題噺」的な思考が非常に活きました。

 

もうひとつ、構成と同じくらい脳をフル回転させたのが演出面部分だったりします…

↑種明かしシーンに使う曲の編集用メモ。左の数字は秒数。

「どこにシーンを入れ、曲のどの部分をカットするか」が書いてある。

だがこの後、思うように編集できずに発狂するのであった(笑)…

 

各メンバーの動き方も原案を作ったのですが、ここは演出さん、実際に動く演者さん、進行さん等々のおかげです!

個人的にはレーザー内の侵入が再現できて本当に本当にうれしかったです!!

 
○キャラクター


vol.8vol.9にて各キャラクターを紹介しました。
ざっくりですが、どうキャラクターを作っていったかを書いてみたいと思います。

3ステップで作っていました。

 

①まずは「脚本上の役割」

 

出来事の発端を持ってくる人
出来事を展開させる人
お客さんと同じ目線で語る人
行動を促す人
ある人物ともう一人の誰かを引き合わせる人

 

などです。キャラによってはその役割が複数の場合もあります。

 

②次にそれぞれの人物の相関関係や役職を考えます

 

結局使わなかったり、変更したりした設定もいっぱいあります。


・敵は金貸しのギャングだった
・初稿ではウィルとマックスの和解は早かった(前半で和解)。
・側近の一人が刑事
・チェルシーとウィルは当初恋人同士だった
…などなど。

 

種明かしシーンから逆算して必要なスキル(力強さ、制作能力、生地の知識、柔軟力など)を考えて割り振るのもこの段階です。このあたりから組合せのパズルに突入します(笑)。

 

人物関係は単純に「対立/仲間」や「上下関係」などを当てはめるのですが、

いろんなロールモデルを試したりもしました。

 

採用した中で一つ例を挙げると、

ウィル・マックス・チェルシーの関係。

これは「薩長同盟」の3人を参考にしていたりします。

 

男のプライドが邪魔をして倒幕のための同盟を組めない桂と西郷の二人(=ウィルとマックス)を仲裁する坂本龍馬(=チェルシー)です。

仲直りするかと思ったらマックスが遅刻するシーンは、西郷隆盛の会談のドタキャンのオマージュだったりして♪

 

③仕上げに性格や名前を決めます

 

「ナイトショーは大胆に」にのキャラクターついては、役者さん本人の魅力を感じる部分をベースに作ったものが多いです。

しかし、「どうしても新しいキャラクター像を作る必要がある」と判断した場合は、なるべく他のキャラクターと正反対になるように意識しました。

 

考えるより動く派と動く前に考える派、
気さくなタイプとシャイなタイプ
大胆さと慎重さ
…などなど

 

深いキャラにするために、出番が多いキャラクターについては、定めた性格がプラスに働くときとマイナスに働くときはどんなだろうと考えたり。

稽古が始まったら、演者さんと話すことで気づくこともしばしばでした。

「このとき、彼は違う行動/思考を選ぶんじゃないか」

「このセリフのとき、こういう感情ですか?」

などなど。

演じてる人だからこそ分かることもやっぱりたくさんありますね。

 

夢奇房は台詞なしの人もいます。
台詞があるキャラクターが動かしやすいのは事実ですが、「セリフの有無に関わらずストーリー上でも魅力的に映るにはどうしたらいいか」ということもプロットの段階でアイデアをこねていました。

 

・シャイな設定
・語らないからこそのミステリアス
・思い切って外国人

 

など色々なバージョンで試してみました。言葉を扱うからこそ、ノンバーバルな部分も大事だと思いますので、今後の課題として個人的にもより深く勉強してみたいところです。

 

前回記事の「群像劇」に繋がりますが、「全キャラクターを愛すこと」「どのキャラクターをとっても主役のお話、スピンオフができるくらいになっていること」を心に決めて作りました。

 

バンカーとオービルのエピソード0、ブルームーンの裏方’sでゆるーい日常コント、タイラーの事件簿とかも面白そうですね。

妄想は広がります(笑)
 
○笑いの効用

 

「今までの公演で最もコメディシーンの多いお話にしたい」というのも目標の一つでした。

お客さんが構えずに見てもらうには笑ってもらうのが一番ですしね!

純粋にそのほうが楽しい!

 

「笑いをどう使うか」。これは数年前に見たあるテレビ番組にかなり影響を受けました。
それはNHKの「達人達」という番組で、その回は、漫画『暗殺教室』で有名な松井優征さんとデザイナー佐藤オオキさんが対談していました。

 

 

佐藤  (略)笑いってパターン化されているように見えて、種類が豊富で、一番多様性があるように感じるんです。

松井    しかも使いどころが豊富なんですよね。たとえば複雑な伏線を張ったときでも、その直後に笑えるシーンを混ぜておくと、その伏線がきれいに隠れる。またどんな陰鬱なシーンでも、一個笑いを混ぜておくと一回リセットできる。笑いってそれだけ与えるショックが大きくて、笑わせることができると強いですよ。
(集英社新書『ひらめき教室 「弱者」のための仕事論』より)

 

 


↑対談が書籍化されています。異なる二人のクリエーターの考えが詰まったオススメの本。

 

…この会話が非常に鮮烈に記憶に残っていて、ネタそのものよりも配置にこだわっていたりします。

 

あとは「キャラクターに親しみを持ってもらえる」ということも挙げられるでしょうか。「ナイトショーは大胆に」でも多くのキャラクターに早い登場シーンで「ボケポイント」または「ツッコミポイント」を用意していたりします。


とはいえ、書いたネタを役者さんに本番食われた(超された)パートもありますからね。

くぅ~、くやしい(笑)!

ま、嬉しかったですが。

 

〇劇中のゲーム

 

最初の台本においては、バンカーとマックスの対決の種目は「ポーカー」でした。

 

・イカサマがしやすそう
・「カジノにはカジノで対抗する」構図
・「切り札」「手札」「揃う」などが台詞に活かせそう

 

などが選んだ理由でした。

しかし、「勝敗やルールが舞台上で見たときにわかりにくい!」との意見をもらい、なるほどと。

 

正直私もあまりルールを知りませんでしたし(←おいっ!)、「じゃあ映画とかではどう上手く見せてるんだろう?」と調べたら、映画もわかりにくい(笑)!と、いうことで代替案としてアドバイス頂いた「チェス」に変え、内容もそれに合わせていきました。

 

コマを取ったり倒す音など、視覚・聴覚で感じられる要素が増えたこともそうですし、

 

「前に進むしかない。進んだ先で何者にでもなれる」というメッセージを、プロモーション*に重ねるという、構想段階では考えてもいないことも出来ました。

*ポーンが最終段まで前進したとき、キング以外のどの駒にも昇格できるルール

 

なにより、チェスという複数の駒を使って戦うというゲーム性そのものが、ブルームーンのチームとバンカー陣営の対決に重なり、

 

「どちらが『先手』を打っているか」
「どちらが『大局観』を持ち合わせているか」

 

を演出する重要なアイテムになっていました。

 

〇個人的に思い入れのある言葉 その1

 

私の実体験が入っている台詞が二つあります。それは後半のクリスマスのシーンです。

 

エリーゼ「月を見るの…(中略)…こうやって眺めてると、「別に大したことないなー」って。それでリセット!」

 

これは本当に私が中学時代に教わったメンタルリセット法です。実際は「夜空を眺める」なのですが、舞台がブルー【ムーン】なので「月を眺める」に変更しました。

 

アホな表現で申し訳ありませんが、
宇宙ってとんでもなく大きいじゃないですか。
その中の小さな星に住む、ひとりの人間が悩んでいることってどうなんでしょう?
そういう枠で考えたらきっと些細なことなんだろうなって。
自分に変えられないことならなおさらで…

 

友達のこと、学校のこと、恋のこと、未来のこと…下校中に自転車を停めては数えきれないほど夜空を見た気がします。わはは。
「首のコリが取れたなー」と思ったとこでリセット完了です(笑)。
上を向いて歩きましょう♪良かったらお試しあれ。

 

〇個人的に思い入れのある言葉 その2

 

マーベラ「ミーナ、勇気って生まれつきのもんじゃないの。筋肉みたいに使えば使うほど鍛えられるもの。覚えときなさい」

 

もうひとつは、意外かもしれませんがココです。

 

私は元来シャイで、それなのに小学生の頃は転勤族だったので、学校の子に話しかけるのはめちゃくちゃ勇気がいることでした。(今もそうか…)

 

あるとき図書室に並んでいた名言集的な本に書かれていたのが、この一節です。
そうなんです。実はここのフレーズは引用なんです。正確には

 

Courage is like a muscle. We strengthen it by use.
(勇気は筋肉のようなもの。使わないと強くならないわ。)

 

です。「勇気は鍛えられる」という考え方は、子供の僕にとって衝撃でした。

 

今も支えになっている言葉ですが、夢奇房にも単身で乗り込んだんだから少しは昔に比べて勇気は鍛えられてきたのかなー?なんて思っています。台本では「さらりと言ってもらうほうがいいかな」と思ったので、ちょっとライトにギャグっぽく使わせていただきました。

 

大人になってから調べなおしたら、アメリカの女優さんの言葉でした。
その女優の名は、ルース・ゴードン。
そう、ゴードンです。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

さて、「机上の空想」は以上となります。
読んで下さったみなさん、ありがとうございました。

 

そして今期、脚本を書くという素晴らしい体験をさせていただきました。
自分が書いた文章にコメントをくれる人がいる。
動き、しゃべってくれる役者さんがいる。
さらにそれを見に来てくれる人がいる。

 

改めて「ナイトショーは大胆に」を見に来て下さった方、関わって下さった方にお礼を言わさせてください。

 

ありがとうございました。

 

 

最後に。じつはブログに伏線……とまではいきませんがちょっとした遊びを。
毎回のブログの最初の段(◆◇◆◇◆◇◆◇の仕切りの前)に、劇中に出てきたゲームを連想するワードを織り交ぜていました!
 
「ポーン」「クイーン」「ナイト」「ビショップ」「ルーク」「キング」「チェック」「はっぱ(=8×8)」「64」「マス」「コマ」「ホワイト」「ブラック」…お暇なときにお探しください。すべて見つけられた人の中から抽選でキャバレー「blue moon」にご招待(笑)!
 
…なんてね。
 
夢奇房は来年も素敵なゆめを見せてくれることでしょう。
ではまた、次の世界で。
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